お知らせ
令和7年の年末調整は少し面倒?
2025年(令和7年)分の年末調整は基礎控除や給与所得控除の拡充、「特定親族特別控除」の新設等により、気を付けるポイントがたくさんあります。年末調整担当者は変更点をしっかり確認し、11月中旬までには従業員へ正しく説明できるように準備しておきましょう。
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基礎控除や給与所得控除、扶養控除等の所得要件の緩和は、2025年(令和7年)12月1日以降に支払われる給与から適用されます。つまり、11月30日以前は旧制度、12月以降は新制度で計算する必要があります 。
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実務としては、12月以降の給与に合わせて年末調整の計算方法を切り替える必要があります。
② 基礎控除の大幅拡充
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所得金額に応じて、最大95万円まで段階的に基礎控除額が引き上げられます(従来は一律48万円)
詳しい所得帯に応じた控除額は以下のとおりです
合計所得金額 | 基礎控除額 |
132万円以下 | 95万円 |
132万円超~336万円以下 | 88万円 |
336万円超~489万円以下 | 68万円 |
489万円超~655万円以下 | 63万円 |
655万円超~2,350万円以下 | 58万円 |
③ 給与所得控除額の引き上げ(給与収入が190万円以下の場合のみ)
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従来の最低保障額55万円が、65万円に引き上げられます。
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これにより、非課税ラインが“103万円の壁”から“160万円の壁”に引き上げられます(基礎控除最大95万円+給与所得控除65万円)。
配偶者・扶養親族:48万円以下 → 58万円以下
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勤労学生:75万円以下 → 85万円以下
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ひとり親の子:48万円以下 → 58万円以下
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これにより、従来扶養対象外だった「妻・子・親」などが新たに扶養対象になる可能性があります。
⑤ 「特定親族特別控除」の新設
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新たに以下の条件を満たす親族がいる場合、控除を受けられます 。
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対象者:19歳以上23歳未満の親族(配偶者・青色事業専従者は除く)
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所得要件:合計所得金額58万円超123万円以下
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控除額:最大63万円(所得に応じ段階設定あり)
税務上、以下のような段階的控除額が設けられています。
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親族の所得金額 | 控除額 |
58万超~85万円以下 | 63万円 |
85万超~90万円以下 | 61万円 |
90万超~95万円以下 | 51万円 |
95万超~100万円以下 | 41万円 |
100万超~105万円以下 | 31万円 |
105万超~110万円以下 | 21万円 |
110万超~115万円以下 | 11万円 |
115万超~120万円以下 | 6万円 |
120万超~123万円以下 | 3万円 |
⑥ 提出書類の変更と確認の徹底
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各種申告書の様式が改訂されました。以下の提出・確認を忘れずに
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「給与所得者の特定親族特別控除申告書」
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「給与所得者の基礎控除申告書」
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「給与所得者の配偶者控除等申告書」
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「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
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特に扶養控除等申告書は2025年12月1日以降に支払を受ける最初の給与の前日までに提出を依頼してください。
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また、基礎控除・特定親族特別控除申告書などは新様式の兼用様式で、記載欄が追加されています。
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年末調整計算には、国税庁提供の改正後バージョンの「給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用してください。
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公的年金等の受給者が、改正により新たに扶養控除を受ける場合は、給与所得者と同様に年末調整ではなく確定申告が必要です。
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□12月1日以降の給与支給には改正制度を反映したか
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□従業員に「扶養控除等(異動)申告書」などの提出依頼する(提出期限を含めて)
□新たに扶養対象となる親族の有無を確認したか
□特定親族特別控除の該当有無の申告書提出を確認したか
□基礎控除・給与所得控除額を正しく適用したか
□使用する控除表が最新のものか確認する
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制度が大きく変わる今年の年末調整は、従来との違いを正確に把握し、各書類の記載・提出・計算に間違いがないよう丁寧に対応することが重要です。